宅浪で厳しいスケジュールとノルマの設定は危険な理由を科学的に説明する

こんにちは。代表のだっちーです。

本日のブログ記事では、なぜ、宅浪で厳しいスケジュール、そしてノルマ設定が危険なのかを説明したいと思います。

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勉強が続かない宅浪生の存在

私自身、多くの宅浪生の相談に乗っていますが、その中でもなかなか勉強が続かないという相談がたくさんきます。

特に、下記のようなパターンを辿る人が多いように思います。

  1. 最初は10時間くらいブッ続けて勉強するスケジュールを立てていた
  2. そのとおり、厳しいスケジュールを始めの頃は達成できていた
  3. しかし、一度挫折すると、投げやりになってしまい、その後何日も全く勉強しない日が続いてしまった。

勉強が続かないという相談をくださった人の大半は、多かれ少なかれ、このような時系列を辿って相談に来るようなきがしています。

共通点は、厳しいスケジュールを自分に課しているという点です。

どうにでもなれ効果(What the hell effect)

厳しいスケジュールやノルマは、逆に目標達成には不向きだということはよく言われています。そのことを理解する際に助けになる考え方が、「もうどうにでもなれ(What The Hell)効果」です。

もうどうにでもなれ(What The Hell)効果」は、もともとは、ダイエット研究者であるジャネット・ポリヴィとC・ピーターパンが最初に提唱しました。

研究者たちが気付いたのは、ダイエットしている人の多くはちょっとつまづいたときだけで――ピザをひと切れ、ケーキをひと口を食べてしまっただけで――ものすごく落ち込んでしまい、もうダイエットなんてムダだとあきらめてしまうことでした。(中略)「もういいや、どうせダイエットなんてパーだもん。こうなったら全部たべちゃえ」  

スタンフォードの自分を変える教室/ケリー・マグゴニガル   p215 

ダイエットの失敗する要因として、食べ過ぎなどの一度の失敗を「大きな失敗」と捉えてしまうことが挙げられる、と述べています。

普通に考えてみると、ダイエットをしていた人が一度ピザを食べてしまったことなんて、たった一度きりの失敗にみえますよね?

しかしながら、いざ自分が大きな決心すると、「一度の失敗」をおおげさにとらえて、

「すべてが終わりだ」

自分を責めてしまう、ということがわかっています。

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宅浪生の「もうどうにでもなれ効果」

私の100人以上宅浪生の相談にのった経験からすると、「毎日10時間」といった高いハードルを設定している人ほど、この「もうどうにでもなれ効果」の餌食になりやすいと感じています。

人間はその日の気分や体調は、日によって大きく変わります。

低気圧の影響で自律神経が狂ったり、なんとなく疲れがたまっている日もあります。家族からのストレスをうけてやる気がなくなる日もあります。

そういったことを考えると、毎日10時間勉強というのはさすがに無理があります。

にもかかわらず、「一日10時間」という高いハードルを設定してしまった人は、一度でも10時間勉強に失敗した日があると、おもしろいくらいやる気がなくなります

知っている例では、それまではコンスタントに一日10時間やれていたのに、

失敗する日が続いてからは、パタンと机に向かえなくなり、自分を責めてしまい、そして…

一か月丸々勉強しなくなった。

という宅浪生を知っています。(かくいうわたしもそういったうちの一人です笑)

つまり、宅浪という自己管理しなければ続かない環境で、「一日10時間」という高いハードルを課す場合は、失敗した時に「自分を責めて逆にやる気がなくなる」というリスクを考える必要があるということです。

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解決策

解決策は、失敗したときの「自分への声のかけ方」の仕方にあります。

つまり、つまづいたときに「じぶんにどんなことを心の中で言っている?」ということです。

まず、厳しい批判はダメ。これが大原則です。

意志力を強化するには自分にもっと厳しくするしかないと思っているかもしれませんが、そう考えるのはあなただけではありません。しかし、それはまちがいです。数々の研究でも明らかになっているとおり、自己批判はつねにモチベーションの低下や自己コントロールの低下を招きます。(中略)これに対し、自分への思いやり――自分を励まし、自分にやさしくすること――は、やる気の向上や自制心の強化につながります

スタンフォードの自分を変える教室/ケリー・マグゴニガル   p21

じぶんになぐさめの言葉をかけるかどうか、

「まぁ、人間だもの。しょうがない」、

「まぁ次頑張れいいよね」、

「失敗した自分を許そう」、

といった心の中でのとらえ方が重要だということです。

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ただ、一見すると、なんとなく「直感的におかしくない?それ」という感じがします。

自分に厳しいほど目的を達成できる、と口酸っぱくきいたことがありませんか?

今まで学校の先生なんかから聞いてきた「自分に厳しくあれ!」といわれてきたことと矛盾していますよね。

その答えはこうなります。

自分へのおもいやり、なぐさめが効果を発揮するのは、自分を許すことで、罪悪感や苦しみを感じることなく、「事実をありのままに」見つめられる、というのがその理由だからです。

人間は、失敗などによって罪悪感や恥などの苦しみを感じるほど、いやな気持を感じさせることそのものから「逃げたく」なります。たとえば、10時間ノルマに失敗して、宅浪生が勉強することそのものから逃げたくなるといった具合です。結果として、なぜ失敗したのかということに向き合うことすらしなくなります

逆に、自分をなぐさめることで、罪悪感をかんじなくなれば、「なんで失敗したのか」をありのままに直視する精神的余裕が生まれるのです。

つまり、こういうことです。

<失敗した時に自分に厳しい場合>

一日10時間勉強に失敗する ⇒ 罪悪感に苦しむ ⇒ 勉強そのものから逃げる ⇒なぜ失敗したのかを分析すらしない ⇒ 悪循環

<失敗した時に自分をなぐさめた場合>

一日10時間勉強に失敗する ⇒ じぶんをなぐさめる(まぁしょうがない)⇒ 罪悪感を感じない ⇒ なぜ失敗したのかを分析する精神的余裕が生まれる ⇒ 次は失敗しないように具体的に対策を考える

ポイントは、自分を慰めつつどうすれば失敗を抑えられるように日々の過ごし方や、仕組みなどを変えられるか、まで考えることが重要だということです。

もちろん季節や気圧の影響などで調子の悪い日や体調の悪い日もありますから、勉強などが続かなかった原因を反省しすぎるのもあまり良くないのですが、ポイントは「冷静に分析」するという姿勢にあります。

冷静に考えれば、落ち着いた心持ちでこそ、「じゃあどうすればいいんだろう」と解決策や反省点を考えられますよね。自分でコントロールできる部分(生活習慣など)と、コントロールできない部分(天気や気圧の影響、家族などからのストレスなど)が切り分けられて考えられます。

ほどよくなぐさめ、ほどよく反省し、そして前に進んでいこうということです。

何かを「決める」ってすごく怖い。けど、決めた分だけ前に進むんだ - コペ転。

まとめ

ハードルやノルマを設定した場合に、失敗してしまったら、

自己批判ではなく、うまいこと自分をなぐさめて、反省し、前に進んでいこうというのが今回の記事の内容です。

そもそも、個人的には「一日10時間勉強」というハードル自体が高すぎると思うので、その日の体調によって、「今日は3時間達成できればよし」と目標を日によって変化させる「可変型ハードル設定法」を提唱しています。これについては近いうちに別の記事で書きたいと思います。

以上、参考になれば幸いです。

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この記事を書いた人

当団体代表。「宅浪を科学する」をモットーに、日々宅浪生の相談活動を行っている。青森県の片田舎から二浪、宅浪で一橋大学法学部に合格した経験あり。

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