【体験談】高卒認定から宅浪を経て神戸大学理学部に合格したdittoさんの体験談

2022年度に宅浪コミュニティのメンバーだったdittoと申します。

私は高校2年の夏に中退してから引きこもり状態になってしまい、一時は大学進学を諦めたものの、高卒認定を取り、自宅での勉強を経て、遠回りになりましたが、今春から神戸大学理学部の大学生となることができました。

この体験記では、2020年度、2022年度私のやってきた勉強を振り返りまして、それが今後大学を目指す方への一助になればと思います。

目次

始めたときの学力

英語:文法と基本的な単語はある程度覚えていた。センター6、7割くらい。

数学:数3は一部未修、1A2Bは高校時代に青チャートをやっていたのが少し残っていた。時間制限無しでセンター7割くらい。

物理、化学:それぞれ力学と波動、理論はそこそこだが以降未修。

古文漢文、倫理政治経済:ほぼ初学

志望校は、一年目は地方の国公立医学部、2年目は京大理学部としながらも他の医学部も諦め難いという感じで、明確に定めないまま勉強を始めていました。

受験結果

結果は以下の通りです。

 

2020(センター)

英語 R182 L42 1A89 2B81 化学100 物理90 現文92 古漢79 政経76

 

2022(共通テスト)

英語 R100 L92 1A84 2B76 化学81 物理90 現文85 古漢74倫政76

最終合格

神戸大後期 数学175?/180 英語 70?/125

 

勉強内容

上から時系列順になっています。『*』までが1年目の内容です。(実際には一年半程かけてこなしました。)

2周の参考書は基本的に全問3周目は間違えたものだけやっています。長くなるので常態になります。ご容赦ください。

英語

単語系

・速読英単語 必修編 

・D U O

・速読英単語 上級編*

・リンガメタリカ(各3周以上)

 

1周目に構文や単語の意味をしっかり取った後は、逐一日本語訳を作らなくとも意味が理解できるように繰り返し音読した。音声C Dも活用し、合間で聞いていた。後述するがブランクが開いた際は基本的に速単の必修編でリハビリをした。

センターでも共通テストでも得点できたのはここが大きかった。

 

構文、和訳、英訳

・基礎英文問題精講

・もっと減点されない英作文*

・英文解釈の技術100

・よくばり英作文

・竹岡広信の英作文が面白いほど書ける本(各2周)

・英文和訳演習 中級、上級編(駿台文庫)

構文、和訳は、『音読ができる程度にできれば、音読しているうちに自動的に復習できるのでそれほどしなくて良い』と考えていたが、少し甘かった。

いざ過去問をやってみると、和訳や説明がすんなりと自然な日本語にできず、時間がかかってしまうことに気付いた。普段から長文読解の練習をほとんどしなかったので、その辺りに気づくのが遅れた。

英作文は、一年目は付け焼き刃の対策、2年目は基礎からしっかりと出来たが、演習まで間に合わなかった。二次試験の配点を見て、早めからしっかり対策、演習するのか、いっそ捨ててしまうのかはっきりさせた方が良かった。

 

リスニング、発音

・英語喉50のメソッド

2年目の初めにだっちーさん(本ブログ管理人)から勧められてやってみた。

特に母音の発音とリンキングが自分でも再現できるようになり、楽しく音読出来たし、聞き取れる分量もグッと増えた。非常にオススメ。

数学

 基礎

・受験の月

・基礎問題精講1A2B3 (各3周)

・受かる計算1A2B3 (各2周)*

 標準

・標準問題精講1A2B3 (各2周)*

・理系プラチカ

 演習

・センター本番レベル模試過去問1A2B (24回分)

・上級問題精講1A2B3 (各2周)

・過去問(京都、大阪、神戸、一橋)

1年目は基礎固めから、しっかり手を動かして計算力を付け、標準問題を完答できるようにと心掛けた。数三の初学の分野は、受験の月を参考にしながら、基礎問題精講を教科書のようにつかった。標準問題精講は特に3が非常に纏まっていてやって良かった。

2年目は解ける問題の範囲を広げることと、実地演習を積もうといろいろな過去問を解いていた。全科目通して一番解答を作ったのは数学で、それが最後の結果に現れたのかなと思う。それでも共通テストはあの時間では厳しかった。

全体として、1、2、3は比較的典型的で解法が見えやすく、勉強すれば得点になりやすいと感じた。

ただ3は計算が重い。数学があまり得意でない人ほどA Bより優先してやっても良いと思う。

逆にAの図形、確率、整数はどの解法を使うのか見えにくく、丁寧な場合わけや具体的な実験が必要で、得点しにくく、勉強時間ほどは伸びを感じなかった。とはいえ大学によっては毎年出ているので、早めに過去問に目を通して、出るようなら早めの対策が必要だと思う。

追加で、センター過去問は基礎の習得度合いの確認によく使った。まずは時間を気にせず解けるのかやってみて、ダメなら該当分野を埋め合わせて、できるようになってくれば、時間を測って挑戦するのが良いと思う。

化学

・スタディサプリ授業(坂田先生のスタンダード化学)

・受験の月

・セミナー化学(2周)

・重要問題集*(2周)

・化学の新演習(2周)

・(辞書として化学の新研究)

スタサプの化学が非常に良かった印象。初学の方にはぜひオススメしたい。一通り見終わった後は受験の月のまとめノートを見て理解できたら、それを閉じて白紙に出来るだけ再現し、暗記事項を覚えた。

新演習の内容は、重要問題集の内容を包含しているので、新演習までやる予定なら重要問題集は飛ばしてもいいかもしれない。ただ、地方国立なら、重要問題集で十分なところも多い。

分野毎には、無機、有機は得点源にしやすい。無機は工業的製法がそのまま出たり、有機はほぼ構造決定が出て、練習を積んでおけば、半ば機械的に出来る様になった。高分子は暗記、計算、記述、読み取りと化学の集大成のような感じ、理論は計算分野が難しく詰めきれなかった印象。

センターに比べ共通テストがかなり難しくなっていて、時間的余裕が全くなかった。一年目にかなり頑張ったぶん、2年目にモチベーションをキープし続けられなかったのは大きな反省点。

物理

・宇宙一わかりやすい高校物理2冊(2周)

・物理のエッセンス

・体系物理(3周)

・名門の森*(2周)+2年目に一周

・難問題の系統とその解法(2周途中)

宇宙一エッセンスを併用して初学の分野をおさえて、体系物理で基本的なパターンを習得した。これだけでもセンターはある程度の得点にできたので、二次試験に理科がない場合にはオススメかもしれない。難系は分量が多く、間に合わなかった。化学に引き続き2年目は思うように勉強時間が取れなかった。

どの大学も必ず力学と電磁気が出るので、一通り全分野終わった後は、この2つを先に深めてから、その他を出来るだけ詰められればというところかなと思う。化学にも共通するが、計算の基本は単位通りに掛け算、割り算することなので、物理量の定義はしっかり覚えておく必要あり。難易度面で、数学に比べ、敷居は高いが、天井は低いイメージで、高得点を狙いやすい科目だと思う。

国語、倫理、政治経済(時系列バラバラです)

入試現代文へのアクセス(基本編)

漢文ヤマのヤマ

古文ヤマのヤマ

速読古文単語

センター国語過去問30回分

速読速解 倫理政治経済

センター倫理政治経済過去問30回分

一年目の9月から始めてセンターまでに詰め込みました。

2年目はほぼ触れず、一年目の貯金で戦いました。

国語はセンター現代文の評判が良いようで、過去問を解くことがなりより得点を上げた感じでした。一年分解く→解説をよみこむ→次の演習に生かす、という風に利用しました。アクセスは2年目にやったのですが、この前にしておくべきでした。

漢文はヤマのヤマ一冊で解決できました。句型を覚え、話の定番の筋を知っておくと、点数につながりやすいと思います。

古文は単語と文法はある程度押さえたつもりでしたが、2回とも結果は出なかったです。

倫理政治経済はあまり手が回らなかったですが、平均点の高さや、あまり知識を要しない読み取り問題が多いのに助けられました。

各科目については以上です。

まとめ

基本的に同じ参考書を繰り返しやりました。これには、基本を抑え、記憶を定着させるには、復習が一番効率が良いというところがあると思います。

英語を例に挙げますと、単語系や英作文の例文暗記の際には、昨日の復習分と今日の新規分を同量ずつで進めていましたが、復習分は新規分の3分の1、4分の1の時間で済みました。昨日の勉強が生きたという実感も伴って非常に良かったと思います。

理数系は英語のようにはしなかったのですが、それは進めていると応用や融合問題の際に自動的に復習になっていると感じていたところがあります。代わりに、間違えたり、時間がかかった問題については、その直後にもう一度解答を作ったり、自分なりにポイントを整理して、2周目や類題は解けるようにやっていました

とはいえやはり1周だと抜けがたくさんあるなとは常々解きながら感じていました。2周はやって損しないと思います。

浪人時の大きな失敗

浪人時の私の大きな失敗をいくつか上げておこうと思います。反面教師にしてください。

面接の練習を人に頼めなかった。

よくある質問を調べ、その回答を作って、それを暗唱する練習を動画に取って確認したりしてはいましたが、誰に見てもらうこともなく、内容や話し方について相談できず、自信を持てないまま当日を迎えてしまいました

結果、過度な緊張で過呼吸をおこし、一言も話せないまま面接落ちしてしまいました。

勉強の空白期があった

 一年目:6月〜9月、落ちてから2年目まで

 2年目:6月〜8月、12月〜2月

特に2年目は一番大切な時期にメンタル面で潰れてしまい、国公立前期試験を受けられず仕舞いです。

潰れてしまう直前は、いつも勉強時間を伸ばそうと画策していたものの、うまくいかず、自己嫌悪に陥っていたような気がします

終わってみれば、精神的にゆとりのある勉強時間の中で勉強の内容に集中できれば、それが一番だったのではないかと思います。

模試を受けなかった

上記の二年間で模試を受けたのは、一年目の5、6月のみでした。

結果が出ないことを極端に恐れ、試験から逃げてしまったところがありました

共通テスト模試は自分で予想問題など購入して出来た部分はありますが、記述の方は、採点してもらったり、他の受験生との距離を推し量る数少ない好機を逃したなと思います。

最後に

自宅での勉強はメリットも多い。

音読ができる、独り言が言える(数学を解く時に考えをぶつぶつ言っていました)、勉強プランを自分で建てられる、移動時間がかからない、など、いいところは沢山あります。

当時は進学高や大手の予備校に比べるとどうなのかと不安だったのを覚えています。ただ、勉強に没頭するには宅浪は良い環境であると思います。やはり没頭できていた時期に学力は伸びたので、そういう時間を増やせるように各自で工夫して頂けたらなと思います。

その一つには、出来るだけストレスの少ない状態で机に向かうことだと思います。

誰かに不安を相談する、運動してリフレッシュする、沢山食べる、買い物に行ってみる、などはほんの一例ですが、明日の自分が気持ちよく勉強を再開できるよう、適度に息を抜きながら過ごせればそれが一番かなと思います。

辛い時こそ他人に頼ろう

私は自己責任論的な価値観を強く持っていて、自分のことは自分ですることが何よりだ、と信じていた部分がありました。それが、一人でなんともならなくなったときに潰れてしまった原因の一つだと思います。

2年目に利用していたDiscordの方でも、元気に勉強できていた時にしか投稿せず、できていない時に黙り込んでしまっていました。ここは人によるとは思いますが、私としては、むしろ逆の使い方をすべきだったと感じています。そういう風にできれば、大きなブランクを作らず一年乗り切れるのではないかと思います。

同じような境遇の方へ

メンタル面での不調から高校中退、高卒認定を経て自宅で受験勉強に臨まれる方は少なくないと伺いました。

私の経験から薦めたいのは、大学進学を決意して本格的な受験勉強に入る前に、まずは生活の枠組みを作り、これを出発点、基準点にすることです。

これは、

「朝起きて夜寝る、三食しっかり食べる、1日一回くらいは外出して、少しは会話もする。」

というのが一例です。これにすこしずつ勉強やその他の習慣を肉付けしてゆく形になります。

というのは、病んでしまう人に共通する認知の歪みの一つに「0か100 か、白か黒か」という考え方の癖がありまして、私も、所謂受験生らしい生活と、昼夜逆転でスマホ中毒の引きこもりの両極端になってしまっていました。

この中間の勉強はしてないけど生活は整っている、という生活を意識しておくと、沈んでしまった時でも、

「がっつり勉強するのはしんどいけど、体内時計と食生活だけでも戻そう」

思うように勉強できない時でも、

「生活面だけでもうまくいっていれば、ある程度いい状態だな」

というように、グラデーションのついた考え方の実践になるのではないかと思います。

その他の認知の歪みについても、知らず知らずのうちに自分を苦しめていることもあると思いますので、一度専門の方が書いているものをあたってみることをオススメします。すぐに修正できるものではないですが、知っておくだけでも自己理解の一助になると思います。

 

以上になります。最後までご覧頂きありがとうございました。

何か一部分でも参考になる部分があれば幸いです。読んでくださった方々の受験生活が実りの多いものとなることを願っております。

 

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この記事を書いた人

当団体のブログへ寄稿してくださった宅浪経験者ライターです。
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