2020年度に宅浪コミュニティのメンバーだった、seiと申します。
私の宅浪体験記は、成功談ではありますが、失敗談の側面のほうが大きいでしょう。第一志望にしていた会津大学に合格し、その結果にも、会津大学を選んだこと自体にも、後悔はありません。
ですが、その過程である宅浪生活そのものには大きな後悔が残りました。そんな情けない体験談ではありますが、宅浪で悩んでいる方のお力になれたなら嬉しいです。
宅浪生活について
まず私は、他に類を見ないほどのサボり魔でした。浪人していた一年間ではおそらく、平均して一日一時間も勉強していないと思います。一か月全く何もしないなんてことも、ざらにありました。
学力は上がらず下がらず、したことといえば、現役のときの知識の維持くらいです。アルバイトと勉強と家事と、と両立して頑張っている浪人生の方も多くいる中で、私はただ布団の上でだらだらと一日を浪費して、鬱っぽくなって自己嫌悪に陥っていただけです。
最初はバイトをしたいと思っていたのですが、親の許可を得られなかったため、していませんでした。勉強以外にすることがない、とても恵まれた環境だったと思います。
私以外に問題はなくて、だからこそ自分が恥ずかしくて仕方なくて、毎日のように死にたいと思っていました。
一つ下の妹が現役生で受験だったのでそのプレッシャーはありましたが、まあ言い訳にすらならないでしょう。
私は、勉強自体はそれほど嫌いではなかったのですが、“やらなくてはいけない”と認識したものをやることが本当に苦手でした。いわゆる逃げ癖です。これがどうしても最後まで治りませんでした。
できないと落ち込んで自分を責めたって仕方ない。切り替えて明日から頑張ろう。何度もそう考えて眠りにつきましたがやっぱりできなくて、次第に自分に期待するのにも疲れていきました。
だっちーさん(ここのサイト主の方です)が運営されているDiscordのサーバーに明日から一日の報告をします、と宣言した時には数日間勉強できましたが、それも長くは続きませんでした。
一つ気を付けなければいけないのは、他の宅浪生の方が見られる場所であまり鬱々とした感情を出すのは良くないということです。
これは私がしてしまった失敗でもありますが、誰でも疲れた疲れたと言い続けるような人と一緒に山登りはしたくないでしょうから。
人の手を借りるべきだった
ただ、今思えばもっと私は人の手を借りるべきでした。
やりたくないことをやることよりも、人に迷惑をかけたり、失望されたりすることの方が怖かったからです。
だからこそ私はもっと一対一で誰かとコミュニケーションをとって、自分のダメなところを曝け出して、その上で対策を相談するべきでした。
誰かと一緒に考えた対策なら、絶対に試さなくてはいけないと思えたでしょうから、自分の逃げ道が塞げたはずです。
ここのサーバーの方で、スタプラ(Studyplus:勉強記録アプリ)やってますか?一緒に励ましあって頑張りませんか?と話しかけてくださった宅浪生の方もいました。個人的に共感を覚えている方でもあって、本当に嬉しかったです。
でも、スタプラを使っていないことを理由に断ってしまいました。
本当は、家庭環境が悪いわけでもなく、時間だって有り余っているのに、不真面目で全く勉強できない自分に失望されるのが怖かったのだと思います。
自分の逃げ癖について
他にも細々としたことはありましたが、およそ私の一年はこのようなものでした。
自分に失望し続けて、他人に失望されるのを恐れ続けた日々でした。
これほどまでに逃げ癖がひどくなった理由の一つに心当たりがあります。
聞いたことがあるという方もいらっしゃると思いますが、
幼少期に親から「よくできたね、賢いね!」と自分の能力を褒められた子供は失敗を恐れて挑戦しなくなり、「頑張ったね!」と努力を誉められた子供は挑戦に積極的になる、
という実験結果があるようです。
私は頑張ったねとも褒められた記憶はあるのですが、私自身に頑張った自覚がなかったため、能力を誉められたのだと勘違いしてしまったのだと思います。
実際そのような側面もあったのでしょう。努力できない人、と言われるよりも頭の悪い人、と思われるほうが確かにいやなここちがするのは、まだこれから抜け出せていない証拠なのかもしれません。
ただあくまでこれは仮説であって、原因のひとつであったとしても、結局は自分自身の性質なのでしょう。
宅浪生活の反省点
ここからは、自分が去年やるべきだったと思うこと、そして志望校についての話を最後にしたいと思います。
まず、自分がやるべきだったと思うことを三つほど紹介したいと思います。これらはあくまで合格のために、というよりも努力できない人のためのものであることを先に言っておきます。
まず一つ目。
*相談できる人を見つけて連絡をする
これは先ほど述べた通りです。だっちーさん含む宅浪卒業生の方でもいいし、宅浪生ならば同じような悩みを抱えている方のほうがいいかもしれません。見栄を張らず、ほんの少しでも結果を盛らないことが大切だと思います。
そして二つ目。
*習慣化する
正直これができていたらサボり魔になっていないので、初歩の初歩の部分です。アプリなどもいろいろ試したのですが、私はあまりうまくいかなかったです。
まず、やる気は自然と湧いてくるものではなく、やっているうちに湧いてくるものなのだそうです。
なのでその最初のやるの部分が肝心なのですが、やる気が出ずサボっている自分を自覚した時は、「五分だけやろう」というのを実行するのがいいと思います。
この時に
(できたら三十分、いや一時間はやりたい)なんて思ってはいけません(私はこれで失敗しました)。
全力で五分やって、その後のことはその後に考えるようにしましょう。
五分やれたらそれで良いので、習慣化自体を目的にしましょう。できなくても、自分を責めないほうがいいです。たった五分ですから。
最期に三つ目です。
*計画を立てる
お察しの通り私は無謀な計画を立てて失敗したタイプです。なのでまず自分が一日にどれくらい勉強できるのかを知るための日を設けるといいと思います。
少なくとも最初のうちは、その日できた量を少しでも超える計画は立てないようにしたほうがいいでしょう。余力があればその都度やればいいと思います。
立てた計画は誰かに見てもらうか、計画を立てる段階で誰かに相談するのもいいかもしれません。
本当は環境を変える、というのも加えて四つにしようと思っていたのですが、私自身が外に出るのも苦痛なタイプだったのでやめました。有効な方法だとは思いますが、私にはできなかったです。
志望校について
最期に志望校についての話をします。
最初に述べた通り、私は会津大学を選んだことを後悔していません。(少なくとも今の段階では。)
能力を誉められた、というエピソードの通り、私は昔そこそこ勉強ができたタイプで、プライドも高いです。少し調べればわかるのですが、会津大学は偏差値がかなり低いです。(確か40後半くらいだったと思います)
それでも私が会津大学を選んだのには理由があります。
少し簡単に紹介しますと、会津大学はコンピュータと英語に特化したコンピュータ理工学部のみの単科大学で、偏差値に比べて大学としての評価はかなり良い方だと思います。
学生の数に対する教員の数が多く、その四割程が外国人の教員の方です。
私はやりたいこと、学びたいことが明確にあったので、それが学べるかどうかをネットでかなり調べました。
現役のとき、私は学部だけを決めて偏差値の表を眺め見、雰囲気で志望校を決めました。(そしてあえなく全落ちしました。)その時の反省を生かし、まず大学評論家を名乗っていらっしゃる山内太地さんという方に相談しました。
通っていた高校に一度講演に来てくださった方で、TwitterのDMで、「こういうことが学びたいのですが、偏差値がこれくらい以下のところでいい大学はありませんか?」とお伺いしました。
簡潔にいくつか候補をいただき調べたところ、研究室に一年からデスクがもらえる大学など、ユニークな大学を色々と知ることが出来ました。会津大学もその一つです。
志望校に迷っている方は一度相談してみてもいいかもしれません。それに加えて、それらの大学の紹介サイトを運営されていた方に、やりたいことがやれる環境があるかをお伺いしました。これもTwitterなのですが、質問箱などの匿名ツールを使っている方も多いので、自分で下調べをしてもわからなかったことは、そういう人の力を借りるのもいいと思います。
それだけやっても、やはり知名度が低い、偏差値が低いという理由で最初はこの大学を志望校にすることにためらいがありました。去年受けても合格したであろう大学を浪人生で志望するのか、という気持ちもありました。しかし、やはり受験というのは目的ではなく手段なのだと思い直しました。自分が学びたいことを学ぶための、あくまでツールでしかありません。
華々しい大学生活を送りたい。大学名で一目置かれたい。質の高い授業が受けたい。コンプレックスを解消したい。自分に自信をつけたい。優秀な教授へのコネクションが欲しい。意識の高い友人が欲しい。充実した設備を使いたい。両親や友人に誇ってもらえる自分でありたい。難関大学を目指すには様々な理由があると思います。
難関大学と言われるところに行くことは、確かにそれだけでたくさんのものを得られると思います。特にやりたいことが見つからない人などは、選択肢を増やすことも大切かもしれません。
ですが、そのために闇雲に浪人する年数を増やすくらいなら、偏差値の低い大学を調べてみるのもありだと思います。熱意があれば、今の時代ならインターネットを用いて得られるものも多くあります。
質の高い授業が受けたいなら、英語さえできればedX(オンラインの教育サービス)などで海外の有名大学の講義が無料で聞けますし、コネクションも、メールでアポイントを取って直接話を聞きに行くことができます。
後悔があるのなら、何十歳になってもまた受験すればいいと思います。センター試験を受けたとき、後ろの後ろの後ろの席の方は高齢者の方でした。受験生の時は、受験で自分の価値や一生が決まると思い込んでいて、先の見えない不安が常にありましたが、難しくはなっても、できることは案外他にもあるのだなと思います。
自分が最期に幸せな人生だったと言って死ぬために、必要なものは何だろうと考えたとき、プライドによるこだわりは捨ててもいいなと思いました。
その時に自分が誇っているものは、大学のブランドではないと思いました。
こうして体験記を書いていると、自分がどれだけそういうものに固執していたのかを改めて感じます。自分を納得させるための詭弁だと思う方もいると思いますし、自分でもどうかはわかりませんが、この選択が間違いではなかったといえるように、大学で精一杯頑張りたいと思います。
やはり受験というのは向き不向きがあると思います。環境が変わったということもありますが、サボり癖も、大学生になってから大分マシになりました。興味のある分野だからというのも大きいと思います。
私の宅浪生活は明らかに失敗でした。私は私のことが更に嫌いになったし、受験を自分の成長の機会にすることは出来ませんでした。それでも今前向きに学生生活を頑張ろうと思えていることを、素直に嬉しく思います。この文章が、受験で悩んでいる誰かの助けになれたのなら嬉しいです。
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